食に関するビジネス書をご紹介します。




アグリアート脳業藝術 <村井邦彦著 化学工業日報社 編>

 まず、読み物としても非常に面白い本であり、文章も平易で読みやすい。 独特のレイアウトで、全ページに渡って上半分に写真やイラストを配置し、下半分には著者の新しい農業に対する情熱と経験と実績があふれている。 水耕栽培を三十年も続けてきたという著者は、これからの農業は効率良くあるべきだし、美しくもあるべきだと考えている。そのために生産をデザインし、水と光を操って農業を芸術の域にまで高め、水光栽培と名付けた。
この新しい農業は知的であり芸術的あるので「農業とは脳業である」という独特の思想を展開している。
脳業は暮らしや生活に密接に関連しているという思いは、さまざまな施設の設計に反映されており、そこでは建物も部屋もテーブルまでもが花や野菜の栽培基地として利用され、まさに人間との共存が実現されている。ただ植物に囲まれているのではジャングルと変わらないだろうが、彼は美しく心地よい共存を目指してデザインしている。
また、これをさらに発展させ、水光栽培を外に持ち出しや水質汚染の対策としたり、都市環境の改善に一役買わせようとしている。これが彼の提唱するアグリデザインであろう。
 水耕栽培では収穫の効率を高くすることは容易でも、外観や雰囲気までも美しくすることは非常に難しい。これは実際に経験した者でないとわからないであろうジレンマである。長期に渡って全体を美しく維持するのは、設計から施工、管理の全ての過程を緻密にデザインしないといけない。
こういうことを全て実現して初めてアートと呼ばれる資格があるのではないだろうか。彼の水光栽培の設計はまさにアートであり、新しい時代への提言でもある。農業や技術に興味の無い人でも楽しく読むことができるし、この本から得られる刺激は重要な意味を持つことになるであろう。
<書評/松山 薫>





おいしさをさぐる食品感性工学
  <社団法人 農林水産技術情報協会 編・ 相良 泰行 監修>

 誰でも毎日何かを食べる。
何も食べない日は特別な場合だけであろう。
おいしいものを食べると幸せな気持ちになる。
この「おいしい」とは何だろうかと追及している人たちがいる。
何かを食べたときの味の感じ方は人それぞれに違う。これは味覚であり、感性である。その感性を測定しようと研究をしている。
今までは人を集めて試しに食べてもらい何段階かの評価をしてもらうという「官能試験」に頼る以外に「おいしさ」を評価する方法はなかった。
このプロジェクトに多くの研究者が関わって、テレビ番組の「プロジェクトX」に採用されるような様々な努力がされている。
味覚の持つ要素、それは色、形、におい、歯触り、味、温度など様々だ。
これらと「おいしい」と感じる感性との関係を見いだして、分類して一般化することで多くの素晴らしい利益が得られると筆者達は考えている。
商品開発が容易になり、的を絞りやすくなる。
寿命の長い商品を開発しやすくなる。
高齢者や病人も味気ない食事で我慢せずに「おいしい食事」をすることができるようになる。
 この本はプロジェクトに参加している研究者達が、自分の成果をまとめたもので、「おいしい」と感じることをあらゆる面から調査している。
味や匂いのセンサーを開発し食品を官能的に分析したり、食べるときの歯触りを調べ、心理学的な考察を与え、食品の開発にフィードバックしている。この研究の過程と、解析された結果が非常に面白く、わかりやすく解説されている。「おいしい感覚」とストレス耐性の関係などは新鮮だが納得のできる話題だろう。
報告書なので言葉遣いがやや難しくなってしまうが、内容の面白さがそれをカバーしており、慣れてしまえばなんでもない。柔らかい話を固い言葉でしていると思えば、それもまた面白い。
  これからの日本は食べることについて、いままでよりももっと細分化された嗜好を追及していく時代になるであろう。若い人に向けて、年配の人に合わせて、病弱な人のために様々な「おいしさ」や新しい味を提供するためのステップになるであろう。この本を読むことで「おいしさ」に対する毎日の見方が変わってくる。また、人間の生活に密着した科学の報告書を読むことで知的刺激を受けるのも楽しさの一つではないだろうか。
<書評/松山 薫>






野菜の魅力―暮らしの中の野菜と健康
<中村 浩 編著 「今月の農業」編集室 編 >

 この本は、独立行政法人農業技術研究機構野菜茶業研究所で活躍する
研究者たちが、普段の生活においての野菜と健康について、我々一般市民向けにわかりやすく解説したも のである。
内容は、第1章「暮らしと野菜と健康」、第2章「野菜の健康パワー」、第3章「魅力 ある野菜たち」、第4章「二十一世紀は野菜が主役」、第5章「野菜の一口メモ」とな っている。
固い話が続く中「ちょっと一服」というコラムで文字どおりの頭の休憩ができ、楽しく 読み進めることができる。
また、毎日なにげなく調理をしてることが文章で証明されていて健康増進に役立ちそうである。
野菜誕生の歴史や、それぞれの野菜が持つ魅力も紹介されている。
我々の暮らしのなかの必需品である食べ物のなかでも重要な位置を占める野菜は種類も 多く味の好みもそれぞれであるがグラフや数字で健康的によいと示してくれて分かりや すい。
読み進めていくうちに野菜の不足も認識でき日々の生活を見直すきっかけになる本でも あり健康維持には薬の摂取ではなく野菜を食べれば元気になれそうと感じられる「体に 優しい本」でもある。
最後の章で野菜の生産者と研究者のQ&Aのスタイルも楽しく読ませてくれる。 健康的な寿命の延伸に役立ち野菜そのものの素顔に出会える本である。 まさに「二十一世紀は野菜が主役」。  <書評/おきょう>






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改訂版『果物の真実』 / 間苧谷 徹 編著

この本は、独立行政法人農業技術研究機構果樹研究所で活躍する研究者たちが、一般消費 者向けに果物と健康について、わかりやすく解説したものである。
内容は、第1章「人の健康と果物、果物はガン予防に効く?」、第2章「果物成分と健康 、食べて健康・ミラクルパワー」、第3章「果物Q&A、健康と安全」、第4章「美味し い果物の選び方と食べ頃、知って得する秘密」、第5章「果物で一服、知って得する物語 」、第6章「熱帯果樹の面白小話」、第7章「果物たちの千年紀、未来への羽ばたき」と なっている。
最後には「果物の逸話」もあり、果物が古代から身近な健康食品であることがわかる。
最新の研究結果に基づく果物の機能性が科学的に証明されていて
「果物は美味しいけれど太る」
「野菜を食べてるから果物は食べる必要はない」
という果物に対する認識の見直しもできる。
果物の価値が理解でき今まで以上にさまざまな果物を食生活の中に取り入れることが健康への近道になることも理解できる。
また、果物の歴史や、それぞれの果物が持つ魅力も紹介されている。
果物には野菜で代替できない成分も含まれており、健康を維持して病気を予防すれば医療 費削減にもなることがわかる。
結論は『健康のために果物を一日200グラム』。
より健康的な毎日に役立つ果物。
「治療から予防へ」を認識する本である。
<書評/おきょう>



















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