株式会社エイガアル 中西愛

セッション名9月1日〜3日に札幌で行われた「ヒューマンインターフェイスシンポジウム2002」にて、ワークショップ「おもちゃの競演」でおもちゃの紹介をしてきました。 HIST(ヒューマンインターフェイス若手ML:http://sig.his.gr.jp/hist/)主催で、学会に行ったことのなかった私はかなりの戸惑いと共にワークショップに参加しました。

その前の2週間、おもちゃの説明をどうしたらいいのかな?と夜な夜な会社でおもちゃと遊んでいました。週末は自然と足がおもちゃ屋さんやサイトに向かいます。自分で試して遊んでおもしろい!と思うことが今回は大切だと感じてました。

30点くらいのおもちゃを会場に運び、いよいよワークショップです。
今回、実際にものを持って来てのワークショップは初めてだと、ワークショップ代表の土方嘉徳さん(大阪大学博士)、木村朝子さん(大阪大学助手)もおっしゃっていました。そんなスタッフ誰もがドキドキしている中、ワークショップは始まりました。
木村さん発表 まずは木村さんによる、エデュケーショントイの発表がありました。知覚障害を持った子供に対してはどういったおもちゃが理想的なのか、子供にとってどういったおもちゃがより発想を伸ばすことができるのか、などといった観点からMITラボの例を持ってきての発表でした。「何かをやったらこんな結果になった」それを知ることが子供にとって大切なのではないかと、木村さんは言っていました。ブロックのような、壊してまた新たなものをつくりだすという過程も子供にとっては必要だそうです。
土方さん発表次に土方さんの発表がありました。土方さんは「大人のおもちゃ」と言う題材です。「おもちゃ」は子供のためのものと思われるかも知れないですが、大人と子供の「おもちゃ」という前提にあるものが違ってくるとのことです。例えば、大人はある程度の自然の摂理や物理科学などを理解しています。何かを見つけたりつくったりするのではなく、その知識があるうえで楽しめるものが「おもちゃ」として成り立ってくるのではないかということでした。
確かに「おもちゃ」はターゲット別にずいぶん幅広く進化しています。人間の直感に働きかけるものとしては、それぞれの年代や成長過程によってとても違ったものになるのだろうと感じました。

ワークショップ1そしていよいよおもちゃの説明に入ることになりました。80人以上入っている会場で話すことは初めてでしたので、その緊張はすごいものでした。専門の研究をやっている方々に「こんなおもしろいおもちゃがあるんだよ」と伝えられれば成功でした。片っ端からおもちゃの遊び方を説明していったのですが、笑いもおきつつ和やかな雰囲気で説明は終わりました。実際に前に出てきてもらいおもちゃを触ってもらう段階でも、皆さん子供のように無邪気でした。
全体的になんとかワークショップはうまくいったようで、ほっとしました。

これからはHIST内でワークショップのアンケートをまとめたものです。
ワークショップ2
● アンケートコメント
■-> 土方さんのお返事

● 大人でも楽しめるおもちゃがあることを実感した。情報技術とおもちゃの組み合わせから、何か新しいものを作れる気がした。
■-> ありがとうございます。そう感じていただければ、なによりです。

● 電子おもちゃでなく、ローテクのおもちゃも見たかった。
■-> そうですね。ローテクのおもちゃには、創造性をかき立てるようなものが多いですしね。実は、そういうものも考えたのですが、コレクターの趣味の問題もありまして、電子おもちゃで統一させていただきました。

● 時間割などをもう少ししっかりしてほしかった。(前半のプレゼンを簡略化してもよかったのでは?)
■-> 申し訳ございません。短い時間につめこみすぎましたね。反省しております。


釈お酌

● タンジブルという言葉の意味は知ってましたが、その研究の意味を初めて知りました。
■->> それは良かったです。最近、いろいろな専門用語が氾濫しているので、私なりにまとめさせていただきました。

● いろいろ新規に見るものが多かったです。
■-> ありがとうございます。メーカーからも取り寄せて、なるべく新しいものも混ぜるようにしましたからね。その甲斐がありました。

● もう少し哲学があると良かった。おもちゃは短命なので、インタフェースよりも新規性では?
■-> うーむ、哲学ですか。ちょっと、私にはそこまで語るだけの知識が足りないかもしれません。おもちゃ自体は、新規性が大事かもしれないですね。ただ、子供が使えるという点から、おもちゃには親しみやすさ、使いやすさ(遊びやすさ)などもあり、インタフェースにフィードバックできるような知見もあると思います。
ワークショップ3

● サーベイ、ご苦労様でした。
■-> こう言ってくださると、浮かばれます。正直、苦労しました(^^ゞ

● 中西さんのおもちゃの説明がとてもおもしろかったです。
■-> ありがとうございます。本人も、喜ぶと思います。

● エイガアルという会社が何をしている会社なのか分かってよかったです。
■-> これは、社長さんも喜ぶと思います(^^ゞ
ワークショップ4

● 現物をさわって、いろいろ仕組みを考えるのは最高です。
■-> そう言ってくださると、うれしいです。そこが、今回の我々の狙いでしたから。

● おもちゃが普通だったのが残念。
■-> うーむ。ちょっとマニアの皆様には、すでに知っているものばかりでしたでしょうか。

● 長く遊べそうなおもちゃがないと思った
■-> これは、厳しい意見ですねぇ。確かに、ITに頼っている面があるかもしれません。さきほどの新規性といい、おもちゃを評価する観点というのは、一つではなく、難しいのかもしれません。
ワークショップ5

● ルールに固まったおもちゃは悪いおもちゃという考えに共感がもてました。
■-> おもちゃを子供の想像力の育成にと考えたら、大事なことですよね。本来、おもちゃというのはそういうものかもしれません。大人がおもちゃを求めるというのは、大人の子供化現象か?

● うなずき君はなかったのですか?
■-> 申し訳ありません(^^ゞ 一番大事なものを忘れてましたね。

● 「おもちゃをどう作るか」という側面のほかに、「どういうものがおもちゃになりえるのか?」という分析的な側面でのトピック提供が出来たらよかったのでは?
■-> なるほど。子供にとって良いおもちゃとは?という点は、述べさせていただきましたが、そういう側面では議論できませんでしたね。これには、様々な視点がありえそうです。
ワークショップ6

● やっぱり音のでるものがおもしろいですね。
■-> そうですね。音っていうのは、重要だと思いますね。やはり、おもちゃから音や声が出ると、なんとなくそこに生命を感じてしまいますからね。おもちゃというものの存在自体、そしてそこから出る音というのは、人間の興味を刺激するのかもしれ
ません。

● SONYの安部美緒子さんの研究がタンジブルでは?本人はタンジブルとは言ってませんが。
■-> 私のサーベイ不足なんですが、タンジブルと言っていない、タンジブルの研究はいくつかありそうです。何か他に見つかれば、また教えてください。

● FishePriceやBRIOなどの古典的で定評のあるおもちゃについては、どう思われますか?
■-> 実は、私はそういう古いおもちゃにはうといのですが。。。私は、ある制約の中ででも、創造性や戦略性のあるものが多いのでは?と考えております。キャラクタものに頼るのではなく、純粋にゲーム性としてのおもしろさを出しているというのですかね。とは言え、あまり語れるほどの知識を持ち合わせておりませんので、このへんで。

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