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三月のご挨拶

 一月下旬から一ヶ月余りをヴァンクーヴァーで過ごした。今年は意外な暖かさで、日本の大雪のニュースとは対照的に、早くも咲き始めた桜さえあり、天気の良い日はコートもなしに散歩ができる優しい冬だった。しかしこうして甘やかされると、いよいよ緊張感がなくなって、毎日とめどなく寛いでしまうのが私の困ったところで、持っていった仕事は遂に手付かずのままだった。わがノートパソコンも持ち主の精神状態にシンクロして怠け始め、メールの配達さえストップしたので、今年こそ筆まめにという新春の誓いは早くも潰え、長いご無沙汰になってしまった。

 睡眠と覚醒の中間で夢ともうつつともつかない世界をとろとろと愉しんだ覚えは誰にでもあるだろうが、瞑想というのは意識的にその状態に入って行くことなのだと聞いて、はたと思い当たった。ヴァンクーヴァーというのはそこにいること自体が瞑想になってしまう場所なのではなかろうか。いつもとろとろと気持ちかよくて、ひたすらに安らかで、欲も得もなくなり、ときどき大自然に溶けていくような感じがしたり、宇宙の真相のようなものがフッと閃いて見えたりするという日々は、瞑想家が語る深遠な境地とそっくりだ。

 マハーサマーディー研究会という瞑想グループに属しながら、瞑想会ではノリが今ひとつだった私だが、一人でヴァンクーヴァーの森や海辺を歩きながらうっとりしていることが自然の瞑想だったのだろう。十年前に気功を始めたら、ちょっと心を鎮めて身体の力を抜くだけで五体がひとりでに動き出す「自発動功」が起こるようになったが、これも動く瞑想なのだ。

 マハーサマーディーのリーダーの天外伺朗氏は、某大企業の上席常務をつとめる優れた科学者で、最近のロボット・ブームの立役者でもあるが、週末は精神世界に遊ぶユニークな方である。昨年一月、この会のツアーでアリゾナのセドナに行き、天外氏やインディアン長老のセクォイア氏と共にいろいろと不思議な体験をして、インディアンへの関心が深まった。セクォイア氏に誘われて八月にはサンダンスというインディアンの祭りにも天外氏たちと参加し、ミネソタ大草原で強烈に現実離れした一週間を過ごした。今年はグァテマラへのツアーが企画されていたが、暴動があったりして不安なのでペルーに変更された。ところが藤森大統領の辞任で対日感情が悪化したようなのでこれも中止になり、代わりにヴァンクーヴァーに行こうということになった。サンダンスへ向かう途中ヴァンクーヴァーに立ち寄られた天外氏が森を歩いて「凄い気を感じるよ。ここで樹林瞑想でもしたらいいだろうなあ」と言われたからである。

 マハーサマーディー研究会事務局のスタッフでシカゴ在住の山崎佐弓さんが二月八日旅行の下準備のためヴァンクーヴァーに飛んで来て我が家に三泊。一緒にあちこちリサーチして回り、大体の旅程を決めることができた。



 四月二十六日夕 成田発 同日午前ヴ゙ァンクーヴァー着、桐島宅でウェルカム・ランチの後、インディアンの木彫が素晴らしい人類学博物館を見学し、バスで市内観光もしてからグランビルアイランド・ホテルへ。グランビルアイランドは水際の倉庫街を生鮮食品の市場やクラフト・ショップやシアターなどに改装した面白い空間で、ダウンタウンにも近い。

 二十七日 水上飛行機で絶景を眺めながら一時間飛び、コルテス島へ。スピリチュアル・リトリートとして名高いホリーホックに三泊して美しい自然の中で心ゆくまで瞑想や散策を愉しむ。昨夏パイプホルダー(インディアンの重要な儀式であるパイプセレモニーの司祭のようなもの)になった天外氏のパイプセレモニーやケーナ演奏も行われる。

 三十日 再び水上飛行機でヴァンクーヴァーに戻りグランビルアイランド・ホテルに二泊五月二日に帰途につくまで自由行動だが、桐島や娘のノエルなど地元勢がアシストできる。一日には天外氏の講演会も催される予定。

 ツアー料金は二十六万五千円

 会員以外でも参加できるので、希望者はマハーサマーディー研究会(電話03/3269/1760)に詳細をお尋ね頂きたい。



 この他にも今年は私が関わるツアーが多い。「いきいき」という中高年向けの月刊誌の企画で、三月にはタイ、六月にはイタリア、秋には多分アメリカの南部へ、読者のグループと一緒に旅行することになっている。これもご興味があれば、「いきいき」編集部(電話03/3235/3579)に直接お問い合わせを。

 我が家でのファンドレージング・パーティーに参加したいというメールを沢山頂いている。冬場はお休みだが暖かくなり次第再開するので、もう少々お待ち頂きたい。三月下旬と四月上旬に数回催すことになるだろう。日程が決まり次第、ホームページに告知してメールでお申し込み頂く。


桐島洋子
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