*** 情報家電ハウス見学 ***
(3月21日)

社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)が受託、推進してきた経済産業省国家プロジェクト「住宅分野の情報システム 共通基盤整備推進事業」の3年の総結集として、京・多摩ニュータウンの一戸建て住宅に、最新のホームネットワークシステムと最新情報家電機器を組み込んだモデルハウスが設立、公開されていた。(http://www.eclipse-jp.com/jeita/)
3月20日が最終日ということで、私を含め5人の美女軍団が視察に行った。
多摩ニュータウンは東京のベッドタウン。閑静な(周囲にはレストランも生活施設もなにもない)住宅地に「庭つき一戸建て」の「金妻(「金曜日の妻たちへ」というドラマがあった)

内容は、
・宅配便宅外携帯電話自動受け取りシステム
・指紋認証鍵無し玄関ドア
・音声認識ホームネットワークコントロール
・ITキッズルーム
・IT書斎
・インターネット電子レンジ
・インターネット洗濯機
・TVセンター、TVリモコンによるホームネットワークコントロールシステム
・自動発注米びつ、ビール自動発注システム
・ハンズフリー自動コールシステム
・ハンズフリー部屋間コミュニケーション
・全自動ホームシアター
・モバイルTV、エアボード
・POF(プラスティック光ファイバー)によるハイビジョン画像伝送(居間−書斎など)
・自動給餌システム
・自動給水システム
・ITアタッシュケース(モバイルオフィス)
・無拘束生体情報検知ベット
・ポット安否確認システム
・ロボット(癒しロボット、メール配信ロボット、ダンシングロボットなど)
・携帯電話による、ホームネットワークの遠隔操作
・家庭と自動車間のハンドフリー音声メール
(以上、WEBより転載)

最終日ということもあり、私たちの前後にも見学者が目白押し。
大手メーカーや住宅会社、建設会社、取材記者などが7割以上を占め、一般の人は3割程度ということであった。関心の高さは国内にとどまらず、海外からの視察や取材も相次いだという。

でも・・・。
もちろん多くはプロトタイプだと思うし、技術はこれからもっともっと進歩するということも理解している。
デザインがダサくても、インテリアに調和してなくても、「ホームネットワーク」というコンセプト提案なんだからしょうがないと思う。
が・・・

「これって、自分で生活したことがない男の視点よね」
「人間の温かみとか、かわいらしさがまったくないわね」
「便利そうって思うけど実際は便利じゃないというものの寄せ集めね」
美女軍団は眉間に皺を寄せながら、口々に「ホームネットワークって、こういうものじゃないんじゃないの?」と言い合った。
21世紀は2極化が進み、家庭に居る人と居ない人、料理する人としない人、など、極端なライフスタイルが増えてくる。
そうなると「電子レンジになぜレシピが必要なのか」とか「洗濯機の洗槽がなぜドラム缶型なのか」という点から考える必要がある。

つまり、料理を作らない人たちにとっては、わざわざダウンロードするレシピなんかよりも、冷凍のTVディナーにバーコードがついていて、それを読むレンジのほうがよほど気がきいているし、料理をつくるならばレシピではなく素材選びのオンラインショップこそが重要となる。
インターネットで新素材対応機能をダウンロードしたメモリーカードを差し込むことで機能拡張できる洗濯機でいちいち「素材」確認をする(あー、こうやって説明書きしててもめんどくさい)よりは、「クローゼットみたいにハンガーにかけたまま洗えるほうがずっと便利だよね」(洗濯よりも干して、アイロンをかけるほうがずっと面倒なのに!)ということである。

「米がなくなったら米屋に自動連絡する米びつ」は、「やっぱり食事は米じゃなくちゃ」と思っているクセに「米の種類」などわからない「腰掛家族」にはいい。しかし多くの「調理人」たちは「古い米はまずいから、少しずつ、新鮮な米を食べることを望んでいるし、そもそも「いつも同じ種類の米」で満足するとは限らない。
「携帯電話で家のなかのシステムをコントロールできる」というプレゼンには、女性陣は一斉に「でも、操作するたびに通話料をとられるんでしょう?」と超現実的反応。
「雨戸だって、携帯でコントロールするよりも、時間で自動的に開け閉めするセンサーのほうが便利だよね」

身体が不自由になるだけではなく、目や耳、言葉、そしてアタマの機能が劣化するお年寄りだって多いのに、「介護ケア」用の電化製品はどこかチグハグである。
そもそも、シニア=病人=在宅看護っていうのも短絡的な考え方で嫌だ。
お年寄りの問題点は、ボディセンサーや緊急呼び出しメール(なんでメール?)やお知らせポット(ポットのお湯を出すと、携帯電話に報告が行く。「あ、おばあちゃん、お茶飲んでるから生きているな」とわかる)ではないんじゃないだろうか。
それに、ベッドで寝たきりになるのはお年寄りばかりとは限らないじゃないか、と思う。

私は昨年から情報処理学会の情報家電研究会に参加しているけれど、論文発表はシステムやアプリケーション・ソフトのことばかりだ。
結局「本当に情報家電て必要なの?」とか「なんのために情報家電なの?」という視点がまったくといって見当たらない。
「持て余した技術を使うために、最後の電化製品に目をつけた」だけじゃないんだろうか。

JEITAハウスは、第2段が計画されるらしい。
どうせなら「実用」にこだわらず、もっと無駄でバカバカしいことを表現してみてもいいのではないかと思う。

「私の情報家電ハウスの朝 2005年3月20日 1年2組 (匿名)」

まいあさ5時になると、うちの雨戸はじどうてきにあがり、太陽がてりつけるので、いやでも目がさめてしまいます。
もっとねていたいのに、ベッドもあがってしまうので、おちおちねているわけにはいきません。
じどうかおあらいきができたので、さむいあさでもあたたかいおゆでせんめんができてべんりです。
はみがきこがついたはぶらしがじどうてきにでてきて、おんがくにあわせてはみがきします。
きょうきるようふくは、せんたくクローゼットにはいっています。
おんがくがきこえると、だいどころではじどうてきにあさごはんのよういができて、パパにはコーヒーがはいりますが、ママはたいていおきてきません。
じどうシリアルそうちから、まいあさチョコレートあじのシリアルがでるから、パパとわたしはそれをたべます。
パパとわたしは、げんかんのペットロボットにママへのでんごんをのこして、でかけます。
きょうのおやつは、オーストラリアからとどくケーキだときのうママがいっていました。
よるはいつもれいとうディナーがとどくのでママはあんしんです。
がっこうがおわったら、ランドセルからママにれんらくがいき、むかえのサービスかいしゃのくるまでかえります。
じゅくは「えきまえりゅうがく」になったので、うちでがいこくの人とべんきょうしますが、そとであそべないのでつまりません。
よる7じになるとじどうでおふろがわくので、ママかパパか、どちらかさきにかえってきたほうといっしょにはいります。
おばあちゃんにてれびメールをだしました。
パパやママにないしょで、ボーイフレンドのだいちゃんにもてれびメールをだしました。
おやすみなさい、というと、じどうてきにへやのでんきがきえます。
だいちゃんに「おやすみ」といったら、へやじゅうのでんきがきえてこまりました。

パパのじどうしゃはかいしゃまでじどうでうんてんできるので、パパはいつも、くるまのなかでしんぶんをよみます。


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