*** 年相応 ***

私は自分がタヌキ顔なせいか、キツネ顔の人が羨ましい。
サングラスだって絶対キツネ顔のほうが似合うし、化粧だって映える。
おとなっぽいし、そもそもキツそうな悪女っぽい雰囲気は丸顔ではどうも迫力が出ないではないか。

先入観からすると、一般的にタヌキ顔のほうが「人がよさそう」に見えて、そして多分、肉体年齢よりも若く見られがちなのではないかと思う。
それは多分、女性にとってはとてもいいことなのだろうけれど、私にとっては「若く見られる」よりも「年相応」に見られたいことがままある。

たとえば、服を買うとき、肉体年齢相応のブティックなどのスーツは、まるで「お母さんの服を借りたみたい」になってしまって、結局はスーツであってもギャル系が一番似合う。
40過ぎてマイクロミニを(仕事に)はいていくのはどうかと思うが、これが私にぴったりのサイズなのだからしょうがない。社内一短いスカートを、社長自らがはいているのだから、困ったものだ。
はじめて会社に来た人は、だれが社長か迷ううえに、年齢と役職の順列が理解できないということもままある。

近所の居酒屋で、私、総務のYさん(50代女性)、監査役のTさん(60代男性)、妹(40代)の4人が飲んでいるとき、隣りの席の某ゼネコン企業部長と所長が話し掛けてきたことがある。
どうやら、一番若いのは私だと思ったようだ。
そして、話の途中に「社長さんは・・・」とTさんに向かって話しかけていた。
え? 社長は私じゃないの? 
ミスター・ゼネコンさんたちは当然のごとく、一番年長者の男性を社長だと思ったらしい。

仕事を始めたときは、周囲の人たちは全員年上だった。
気がついたら、だんだん同じくらいの世代の人が増えていった。
そしてついには、年下の場合が増えてきた。
年下でもかまわないのだけれど、「この人はきっと年上だろう」と思った人が(男女どちらであっても)年下だと、なんとなくショックだ。

ところが、最近はほとんど年下ばかりになってきた。
こうなると、なんとなく開き直りみたいなものがある。
お姉さんになんでも聞いてごらん、てなもんだ。

今日は、30代のベンチャー社長と側近(ふたりとも男性)と、S子さん(彼らより1歳上)、私(実は10歳くらい上)で食事をした。
なぜか年齢の話になって、彼らは「おふたりとも、僕らと同じくらいの年ですよね」と言った。(それにしても、なんで男って女性の年齢がわからないのかしらね)
「まあ、だいたいね」と笑って言ったのだが、「四捨五入すれば同じですよね」と言われてちょっと顔がひきつった。
30代後半の彼らはいいとして、私は「四捨五捨」にしないとダメなんだもの。

くーっ!

こういうときにタヌキ顔の若づくりは、なんとなくうら寂しいものがある。
「悔しかったら追い越してみろ!」なんてね。


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